AMS-LaTeX

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目次

何故AMS-LaTeX?

「何故AMS-LaTeXなのか」.この問いはわざわざこのページを見ている人を考えれば愚問ですが,簡単に説明しましょう.

AMS-LaTeXは次の様な方々に便利(必要)です.

ただし,ここでは簡単な概要しか述べないので,特に"AMSに投稿する"という人は,AMSページ,特に"AMS Author Handbook"を自分で見るようにしてください.AMS-LaTeXでもAMSに提出できます.詳しいことはすべて"AMS Author Handbook"に書いてあります.いま,直リンクにしてありますが,正式にはちゃんとAMSのホームページからAMSのTeXのページと辿って行ってください.

AMS-LaTeXとは

はじめに,AMSというのはアメリカ数学会(American Mathematical Society)の略です.ここではLaTeXの説明はしません.

AMS-LaTeXというと,そういう名前の1つのソフトウェアがあるような感じですが,配布はLaTeXの付加パッケージとして配布されています(つまりは,LaTeXの為のマクロです).つまり,AMS-LaTeXを使うには既にLaTeXがインストールされている環境にAMS-LaTeXという名で配布されているモノを付け足す事になります.LaTeXは色々なモノを付加することで縦書きができるようになったり,多様な化学記号を表記することができます.AMS-LaTeXはそのような付加物の一つだと考えてまず問題はないです.

ちなみに,AMS-LaTeX特にamsmathのpackageは新しいLaTeXには標準でインストールされています.また,http://www.ams.org/tex/amsmath.html またはftp://ftp.ams.org/pub/tex/から最新版を入手することが出来ます.

AMS-LaTeXの構成

AMS-LaTeXの(2002年)現在の最新バージョンはver2.0です.AMS-LaTeXは2つのモノから構成されています.amsmathとamsclsです.amsmathは数式モードの機能を強化するもの.amsclsは文章全体の(マージンとかの)設定をするclass(style)のパッケージです.

一方,厳密にいうとAMS-LaTeXの構成要素ではないのですがAMSFontsという重要なコレクションがあります.これは名前に"Fonts"と付いている事からも分るように,多様な数学記号を付加するモノです. なのでここでは本来のAMS-LaTeXの定義を"狭義のAMS-LaTeX"と呼ばせてもらい,このページでは「AMSFontsとAMS-LaTeX(狭義)をLaTeXシステムに付加した全体」をAMS-LaTeXと呼ばせて貰います.

AMS-LaTeX(このページでいう所のAMS-LaTeX)
    |
    +-LaTeXシステム
         |
         +- AMS-LaTeX (本来の定義のAMS-LaTeX)
         |      (amsclsとamsmathの2つから構成される)
         |
         |
         +- AMSFonts

AMSFonts

AMS Fontsの(2002年12月現在の)最新バージョンはver2.2dです.(2.1と2.2と2.2dの基本的な違いはバグだけです.)

AMSのページからの引用ですが,AMSFontsの提供する記号は次の通りです.

具体的にこれらのフォントの実物を見たい人はAMSの,AMSFonts User's Guide Short Math Guide for LaTeXを見てください.具体例としては,

などが使えるようになります.

注:
AMSではAMSFontsのLaTeX2.09での使用に対するサポートをもうしていないため,LaTeX2.09を使っている人はLaTeX2eにバージョンアップする事を強くお奨めします.

AMS-LaTeXの使い方(基本編)

初めに,(何度も言っていますが)LaTeXには旧版であるLaTeX2.09と現在の最新版LaTeX2eがありますが,LaTeX2.09は既に多くの機関(AMSなど)からサポート外とされてしまっています.LaTeX2eのシステムはLaTeX2.09も上位互換していますので,「昔LaTeX2.09で作ったファイルを手直しして再利用することが出来なくなる」といった心配は無用です.旧来の資源も利用しつつ,最新のサービスが受けることが出来ます.まだシステムがLaTeX2.09であるのならLaTeX2eにバージョンアップすることを強くお奨めします.

補足:
LaTeX2eシステムでは,ドキュメント宣言を

\documentclass

で行います.\documentstyleと宣言したばあい,システムは自動的にLaTeX2.09モードになり,ソースをLaTeX2.09として処理します. これはLaTeX2e上で確実に2.09時代の資源を利用出来ることを保証するとともに,LaTeX2eで提供されるAMSやグラフィックの豊かなpackage群を用いるためにはドキュメント宣言を必ず\documentclassと書く必要がある事を意味します.

英文の場合(特にAMSに投稿する場合)

\documentclass{amsart}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}

詳細はAMS author's manualを見ましょう.

日本語で使う場合

普段のレポートや日本語のLaTeXで高度な数式表現をしたい時の利用法を紹介します.

例えば,LaTeX2.09以上(つまりLaTeX2.09の上位であるLaTeX2eでも構わない)が入っている環境下で、AMS-LaTeXを使い,数式の記述モードをAMS-TeX流にするには

\documentclass[11pt,a4paper]{jarticle}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}

等とします.\documentclassの指定は普段使っているもので構いません.重要なのは

\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}

をプリアンブルで読み込むと言うことです.

文章整形自体をAMS準拠にしたい場合(まぁ,AMSに投稿する時意外必要無い気もしますが)

\documentclass{amsart}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}

必要に応じて,amsartはamsbookに置き換える.

とすれば良いです.ただ,この場合,日本語が正常に動くかどうかは,良く分りません..(すみません)

AMS-LaTeXの使い方(応用編?)

現在のLaTeXの最新バージョンはLaTeX2eです.これは,1985年に登場したLaTeX2.09(LaTeXの一般向けの最初のバージョン)の新しいバージョンです.使っている環境が(まともな大学の計算機センターなどの)ちゃんと整備された環境であれば,最新版であるLaTeX2eが入っています.また,もし貴方が自宅など自分で整備した環境でLaTeXを使っていて,まだLaTeX2.09を使っているのならば,LaTeX2eにバージョンアップしましょう.コマンドが若干変わっていますが,機能が強化されています.また,実はLaTeX2eはLaTeX2.09をサポートしているので「とりあえずバージョンを上げておいてゆっくり移行する」という事も可能です(このことはまた,別の機会に書きます).これらの理由から以下では,LaTeX2eの下でAMSを使う方法を紹介します.

基本的な設定

LaTeX2eでAMSの数式コマンドを使うには,プリアンブルで

\documentclass[a4paper]{jarticle}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}

とします。これでLaTeX2e上でAMS-LaTeXが使えるようになります.このプリアンブルの書き方を見て「\documentstyle じゃなくて,\documentclassなの?!?」と思う人もいるでしょうが,LaTex2eでは"\documentclass"を使います."\documentstyle"と書いてもタイプセットできるのですが, "\documentstyle"と宣言した場合,書かれたソースのバージョンがLaTeX2.09と自動的に判断され,バージョン2.09としてタイプセットされてしまいます.

本などによってはamsmathを使って\usepackage{amsmath}とする代わりにamstex.styを使って

\usepackage{amstex}

と書いてある本も多いのですが,そう書くと
! Package amstex Error: Package `amstex' is obsolete, substituting `amsmath'.
と怒られてしまいます.その本が書かれた当時には確かにAMSの数式コマンドを使うためにはamstexというパッケージを使うことになっていたのですが,いまはエラーメッセージに書かれているように"amstex"は時代遅れなので,代わりに"amsmath"を使います.

実際には,amsmathというパッケージ(スタイルオプション)を使わなくても個別に下のスタイルオプションを指定してあげれば良いのですが.....基本は\usepackage{amsmath}として,特別に必要な物だけ下で紹介すると覚えた方が良いと思います.

amsmath パッケージの中身。

狭義の(本来の意味での)AMS-LaTeXはamsclsとamsmathの二つから作られています.その内のamsmathは次のpackage群により構成されています.

amsmath
   |
   +-- amsmath
   |      メインpackage
   |
   +-- amstext
   |      数式モードの"\text"コマンドを定義するパッケージ
   |
   +-- amsopn
   |      
   |
   +-- amsbsy
   |      "\boldsymbol"と"\pmb"等の定義をするパッケージ
   |
   +-- amscd
   |      可換な図式を描く環境のパッケージ
   |
   +-- amsxtra


以上のうち,言うまでもなくamsmathが最も重要です.amsmathはamstext, amsopn,amsbsyを含んでいるのでamsmathを指定すればamstext, amsopn,amsbsyの3つは改めてpackageを読み込む必要はありません.

一方,amscdとamsxtraはそれぞれ個別に\usepackage{ }などで読み込む必要があります.

■amsmath の options

amsmathには様々なoptionsが用意されています.User's Guide for the amsmath Package (Version 2.0) pp.2-3を参照してください.

■amscd

可換な図式を描く環境を定義するスタイルオプションです.ただ,どこまで複雑な図式が書けるかは現在調査中.

\usepackage{amscd}

とプリアンブルに書きます(って,もう言わなくても記述方法は分りますよね ;P).

■amstext

\textを使えるようにするコマンド.\textは数式モードで使うコマンドです.\text{hogehoge}と{}の中身のhogehogeはLRモードとして扱われます.ちなみに,\mboxも数式モード中でテキストを挿入するコマンドでLR{}の中はLRモードになるので必要性は???です.また,amsmathを指定下時点で自動的に使えるようになっているので,指定する必要も実はないsわうんw.

■amsbsy

\boldsymbolと\pmbを使えるようにするスタイルオプション.つまり,これで好きな文字をボールド(ベクトル)として記述できるわけです.共に数式モードで私用します.\boldsymbolは数字,数学記号,ギリシア文字などのフォントをボールド体で出力するコマンドです.また,\pmbは"Poor man's bold"の略で本来ボールド体がないフォントをボールドに見せかけて表示するためのコマンドです.パッケージの読み込み方法と具体的使い方の例は下の通りです.

\usepackage{amsbsy}

\boldsymbol\alpha    %alphaのベクトル
\pmb{\sum}           %総和(シグマ)のボールド体

これも,amstext同様amsmathを指定した時点で読み込まれているので,特別していする必要はありません.

amscls の中身

amsart, amsproc, amsbookの3つ.文章の形成を定義するためのclassなので,AMSに投稿する等の事情がない限りは使う必要はありません.これを使うよりも,jarticleなどをベースにした自分専用のテンプレート(自分でマージンを指定するとか)をした方が便利と思います.

たとえば,amsartを使うとTITLEが自動に全て大文字になる,マージンは何mm,定理はどのような形式になる,とかがAMSの投稿規定にしたがって設定されています.

■amsthm

amsclsの一部としてamsthmというパッケージがあります.指定の仕方は他のパッケージと同じです.一応,amsclsの一部となっているのですが,別にamsclsのclassを指定しなくても使えます.ただし,amsclsのclass(i.e. amsart, amsproc or amsbook)以外のclass(i.g. jarticle)を指定した場合,amsmath Packageを読み込んだ後にamsthmを読み込んでください.

  ==========================
  正しい例
  \documentclass[11pt,a4paper]{jarticle}
  \usepackage{amsmath}
  \usepackage{amsthm}


  ---------
  悪い例
  \documentclass[11pt,a4paper]{jarticle}
  \usepackage{amsthm}
  \usepackage{amsmath}

  ※amsthmがamsmathより先に読み込まれている.
  ==========================

amsthmはLaTeXの\newtheorem機能を強化するものです.また,他にもイカシタ機能が満載です.Using the amsthm Packageは4ページの簡潔な公式ガイドです.これを御覧ください.

AMSFonts の中身

AMSFonts v2.2d で利用可能なpackage

2002年12月現在
amsfonts  "\frak"や'\Bbb"など を定義するパッケージ
amssymb   "AMSFonts V. 2.1"の定義をするパッケージ(amsfontsを含んでいる.

■amssymb

amssymb "AMSFonts"の定義.

\usepackage{amssymb}

で使えるようになります.様々な(必要ないくらい)数学記号がこれで使えるようになります.便利な例としては,「だから」(点が三つのやつ)とかですね.

また,amssymbは次に紹介するamsfontsを包含しています.

■amsfonts

MSAM(extra math symbol A), MSBM(extra math symbol B と blackboard bold), EUFM(Euler Fraktur), CMMIB(bold math italic と bold lowercase Greek), CMBSY(bold math symbols と bold script)を数式モードで使えるようにするスタイルオプションです.
\Bbb は古いので\mathbbを使いましょう。

Package amsfonts Warning: 
Obsolete command \Bbb; \mathbb should be used instead
on input line 36.

重要なリンク of AMS-LaTeX

/export/home/usr.keio/lnx86-0.8/all/ptex-3.0.1/share/texmf/tex/latex

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Last modified: Fri Dec 27 21:31:35 JST 2002

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